チェンマイの廃寺を訪ねて

ワット・チェット・リン


場所……堀の内側。チェンマイ門からプラポククラウ通りを北へ向かい、200~300m行った左側。ワット・ムアン・トゥムの向かい


PHOTO(再建前)


堀の内側、プラポククラウ通り沿いにある廃寺、ワットチェットリンの写真 仏像が現存している数少ない廃寺のひとつで、現代の名刹ワットチェディ・ルアンからも200~300メートルなので、気軽に訪れることができる。簡単な英語の説明書きも設置されている。
 通りに面した部分は芝生になっており、その奥の大木に隠れるようにして仏像が、さらにその裏側にチェディが残っている。
 この寺院の起源ははっきりとはしていないが、チェディ(仏塔)が4角形と円形を混ぜ合わせたような形をしていること、下部と中央部をつなぐ個所が4角形の3層構造になっており、下部を支える基壇部分も同一のスタイルになっていることなどから、タイ暦2100年代より前に建立されたものであることは間違いない。
 仏舎利などを安置する場所である仏塔の最重要部分“ルアン・タートゥ”を支える、柱をかたどった部分には、樹木の模様が施されており、四方にあるアーチ型の門の中には仏像が納められている。尖塔の直下部にあたるお碗の形をした部分は、古くなって壊れており確認することはできないが、残存している部分と年代的な見地から、もともとは8角形で、蔓性の植物の模様が彫られていたと推測される。
 手前にある仏像は黄色く塗られており、その足元には、かなり崩壊の進んだ仏頭が置かれている。
 タイ暦2060年に著された「ニラート・ハリプンチャイ」という書物によれば、昔はこの寺院は「ワット・ノーン・チン」と呼ばれていたという。また、2094年から2101年にチェンマイを治め、最終的にビルマのペグー王朝によって退位させられたメーク(メークットウィスッティウォン)王の即位式はこの寺院で行われた。その時、王が寺院の脇にあった池で沐浴し、その水を仏像にかけたところ、そこからかぐわしい香りが漂いはじめ、その芳香は3日間にわたって続いた、という逸話が残っている。




==========

≪再建されたワット・チェット・リン≫


PHOTO(再建後)


堀の内側、プラポククラウ通り沿いにある廃寺、ワットチェットリンの改修後の写真 2004年後半ごろから大規模なリノベーション工事が行われ、大木に隠れるようにして置かれていた仏像を本尊として新しいヴィハーン(本堂)が造られたりして、現在は廃寺ではなく、生きた寺院として完全に生まれ変わった。

 通りから見て右側に新しいヴィハーンがある。こじんまりとしていて外観には特にこれといって特徴があるわけではないが、できたばかりの真っ白な壁が目にまぶしい。脇には大小の銅鑼が吊り下げれている。
 中に入った奥の突き当たりに廃寺時代からあった仏像が安置されている。
 ところが、驚いたことにこの仏像、金ピカに塗り替えられてしまい、当時の面影を留めているのは唯一台座だけである。
 おそらく寺院の再建の際に塗り替えられたのだろうが、昔感じたようなわびさび、と言ったらいいのだろうか、趣のようなものが一切失われてしまったのは非常に残念だ。
 その奥には以前からあった古いチェディ(仏塔)がそのまま残されているが、新しいものも寺院に入ってすぐ左手に2009年9月現在建設中だ。
 以前からあった崩れかけた仏頭は、入って正面の大木の下に鉄製のフレームに支えられるようにして残っている。その脇には奉納されたのであろうか、石でできた球がずらりと並んでいる。
 そのすぐ裏の大木門の下には、売店つきの小さなサーラー(東屋)があり、昔の様子から現在の姿になるまでを記してあるものなど、この寺院についての書物などが売られている。カレン族やカレン語に関するものも多く、もしかするとこの寺院は彼らと何らかのつながりがあるのかもしれない。
 そのさらに奥、寺院を入った正面突き当たりにはラーンナー風の建物(集会場?)が新たにできた。内部は小さな仏像が置かれているだけでガラーンとしている。
 その右脇を抜けていくと突然大きな池とそこにかかる竹で編んだ橋が目に飛び込んで来る。この池こそが、上記の文献に出て来るメーク(メークットウィスッティウォン)王が沐浴したという場所で、“こんなところによくこれだけの池が”と驚くほどの広さだ。100m近くはあると思われる橋の途中には小さな東屋も造られている。池にはカメ、魚、エビなどがたくさんいるが、“エサを与えてはいけない”という看板が立っている。橋を渡り切った先は僧坊になっているだけで見るべきものはない。

 余談だが、自分が訪問した時日本語が少しできる若いお坊さんがいらっしゃって話をしたが、日本語をどこで習ったのか聞いたら「ここ」と言っていたので、ほかにも日本語のできるお坊さんがいるかもしれない。
【2010年3月】



イギリス発の総合アウトドアブランド。旅行用品も多数!




HOMEへ レポートを書く TOPへ