tpnさんの“タニン市場での揚げパン修行日記”(3)


第3期


■8月9日 金曜日


 バンコクからの深夜バスで早朝5時半にアーケード・バスターミナルに到着、面倒くさいのでモトサイでタニン市場に着きました。まだ6時前なので、周囲も深夜という雰囲気。カーオマンガイ屋では、中央のテーブル席でおじさんのファランとタイ人の若い男女が数人酒を飲んでいました。
 お父さんとお母さんは、相変わらずです。僕にどこを回ってきたか、お金はいくらかかったかなど色々聞いてきます。挨拶だけして帰ろうと思ったのですが、何となく手伝うことになりました。托鉢のお坊さんに食べ物を差し上げるのはどうも僕の仕事になったようで、今日は4回。酒を飲んでいたグループから、僕にこっちに来て酒を一緒に飲もうと声がかかり、呼ばれました。僕は酒が飲めないので、話を少しして手伝いに戻ると、お母さんとお父さんが寄ってきて、「酒は飲んだらだめだよ。酒はよくないよ。」と言いました。
 手伝いを何度かしていると、お母さんから、「今日はそろそろ部屋に帰って寝なさい。明日は遅く来なさい。」とのこと。言われる通りに失礼しましたが、色々心配してくれて、まるで親のようです。




■8月10日 土曜日


 昨日、お母さんが「明日は遅く来なさい。」と言ってくれたので、今朝は寝坊してしまいました。学校のない日は、ジョギング後シャワーを済ませてからお手伝いするのですが、予定変更。ジョギング後、店に直行しました。店は、何となくゆったりムード。おかげで、お父さんやお母さんと色々話ができました。お父さんが「時々家に飯を食いに来い。」と言います。僕はうれしいのですが、お母さんにこっそり「行ってもいいか?」と聞くと下を向いてしまいます。たぶん、家事や仕込みで忙しくて面倒なのでしょう。僕にとってはまったく問題のない話なのですが、これが、お父さんから強く言われてその横にお母さんがいると、ちょっと困ってしまいます。実に、今日はそのパターンでした。お父さんが僕に「今日は何かあるのか?土曜だから何もないのだろう。飯を食いに来い。」と言えば、お母さんは「勉強に行くからだめだよね。」その間で、僕はタイ語をまともに話せないこともあり、いつも困ってしまいます。今日は、友達と遊びに行くということで、何と切り抜けました。
 そんなお母さんですが、根はとてもやさしい人です。今日も、突然「冷蔵庫はあるか?」と聞いてきたかと思うと、水で少し冷ました豆乳を2袋「冷やして飲みなさい。」とくれました。いつもありがとうございます。




■8月11日 日曜日……ちょっと接客


 運動後いったん帰宅してシャワーを浴び、6時50分ぐらいに到着しました。今日はひとつ、やろうと思っていたことがありました。それは、生地を鍋に入れる作業。これは、以前させていただいていたのですが、失敗してから自粛が続いていました。2回目の揚げる作業の時に聞いてみると、即OK。あわてないでゆっくりやることにしました。
 実際やってみると、鍋の油の中への落とし方で形も変わってきます。何回かやっていると、お母さんが振り返って、例の「マイスワイ!」。お父さんが、「自分が作った。」とフォローしてくれました。ありがとう。
 今日は売れ行きがよく、お母さんも機嫌がいいようでした。明日は、母の日だからかもしれません。作業の切れ間にお母さんがいなくなってしまい、そこへお客さんがひとりやって来ました。お父さんは揚げている最中だったので、僕が応対しました。「パーハーバー」。何、それ?ハーバー(5バーツ)はわかるけど。実は、“パートンコー5バーツ”の省略形だったのです。次のお客さんは、小学校低学年の男の子とモトサイに乗ったおばさんが同時に来ました。とりあえず、男の子に「待っててね。」と言って、おばさんの方に応対していたら、お母さんが帰ってきたので、ここで終了。
 お母さんは、「お父さんと2人でやってくれたら、自分はバンコクへ行ってくる。」と言って、笑っていました。今日は売り上げ好調。8時30分にはかたづけが始まりました。
 明日は母の日なので、お母さんはお寺に行くそうで、「もっと遅く来なさい。」と言われました。何があるのだろうか?日本では、カーネーションだけど。




■8月12日 月曜日……怒られた


 今日は、母の日。昨日は「遅く来なさい。」と言われたので、シャワー後少し勉強してから部屋を出ました。歩いていると、後ろから「ハロー!」と声をかけられたので振り返ると、モトサイに乗った息子でした。2人乗りで店へ行くと、お母さんが「遅い、遅い。」と、大きな声で僕に言います。おまけに、通りかかった果物屋のおじさんも、「遅い、遅い。」と言ってきました。どうしてだ?昨日、遅く来いって言ったのに……。でも大丈夫、お母さんは僕に本気で怒ることはありません。眼がいつも、ニコニコしています。こういう時、息子がいると心強いですね。英語で何かと教えてもらえるからです。昨日の発言とは、無関係のようです。今日は非常に忙しく、人手がほしかったみたいです。現に、揚げパンの生地は2つ目に入っているし、お父さんは黙々と作業していました。息子が手伝いに入ると、僕は手伝うことが半減してしまいます。カーオマンガイ屋の兄ちゃんと話したりしながら、手伝いをちょこちょこ行います。今日は、今までで一番売れ行きがいいようで、あっという間に生地がなくなりました。お母さんが、「息子と2人で食事をしてこい。」と言ってくれました。
 2人で食事しながら、お母さんの話題になりました。息子は、「お母さんは声が大きくていつも怒って見えるけど、本当はやさしい人なんだよ。」と僕に説明してくれました。「わかってるよ。でも、大きな声は商売にはいいよね。今日は母の日だけど、お母さんに何かあげるの?」、「何もあげないよ。お母さんは何もいらないって言ってたからね。」などと話をしました。どうやら、いつも寝てばかりいるとお母さんが言っている息子は、いい息子のようです。今日は早目に売り切れになり、ふたりで早々に引き上げました。




■8月13日 火曜日……パーマイ?


 今日は、昨日とうってかわってお客さんが少ないです。でもそうなると、僕はお父さんお母さんと会話がゆっくりできたり、話が聞けたりできるのです。
 お母さんが、「パーマイ?」とお客さんに聞いていました。そのお客さんは、豆乳だけを買っていたお客さんです。そうです。このパーマイ?は「パートンコー(揚げパン)アオマイ(いりますか?)」の省略形なのです。なるほど、少し勉強になりました。
 今日はゆったりしていたので、僕から少し話してみました。昨日、市場でもち米を買った時、そこの娘さんが近いうちにが学校で日本語を勉強する、と言っていたのでその話をしてみたのです。
 「カオニャオ屋さんの娘さんが日本語を学校で勉強するんだよ。」
 「娘さんは、かわいいですね。」
 「お前が教えればどうだ?お前は、奥さんはいるのか?」
 「奥さんがいたらお金がかかるので、いらない。」
 「うちの息子もそうだ。勉強している方がいい。結婚して奥さんを持つと、お金が沢山(シップセン)かかる。」
 「お父さんは、お母さんと結婚した時シップセン使ったのですか?」
 以上が、一生懸命話してみた内容です。シップセンはここの人たちが使っているのですが、本当は100万Bの意味です(教科書では違うけど)。どうも、“お金がたくさん”っていうカンジでも使っているようです。お母さんは、息子のことを心配しているようで、ある日息子に「彼女はいるか?と聞いたら、いらないと言った」と心配して、今日は今日で勉強した方がいいと言います。お母さんは、どこもこんなカンジなのでしょう。




■8月14日 水曜日……寝坊


 “寝坊”というタイトルをつけると、きっと僕が寝坊したとお思いでしょう。ところが、違うのです。今日は店に顔を出すと、お母さんが何やら大きな声で話しかけてきました。どうやら、お父さんが寝坊して店を出すのが午前6時になってしまったらしいのです。何10年もやっていて、寝坊することもあるんですね。お父さんは、今日はおとなしく揚げパン作りをしています。
 「お父さん、昨夜遅く寝たの?」、「すごく疲れてるの?」何を言っても、気まずそうです。年中無休だそうだから疲れもたまるでしょうし、こんな日もあるのでしょう。おとといはお客さんがとても多く、昨日はとても少なかったです。そして今日は、こういう日に限ってお客さんが多くて忙しいのです。商売はわからないと言いいいますか、おもしろいと言いますか……。今日は、出遅れた分を取り戻すためにがんばる、というわけでもないのですが、お客さんが多いこともあり、あっという間に時間となりました。今日の手伝いは、いつも通り。生地を鍋に入れる作業も、ゆっくり手伝いました。何も、僕があわてる必要はないのです。ジャマしないように、気をつけました。




■8月15日 木曜日……ベンツ


 今日は5時半に起床、競技場に向かってウォーキングしていると、後方から何やら大声がします。豆乳屋のお父さんでした。後で聞いたら、市場にバイトゥーイを買いに行ってきたそうです。これは、豆乳のなべに入れる香草です。
 店に行くと今日は大忙し。特に、托鉢のお坊さんにあげる人が多いようです。僕もすぐに応援に入ったので、朝食は後回しです。今日は、折りたたみテーブルに体格のよいご婦人が座っていて、机の上にサイバー用の花、カーオマンガイと揚げパンをたくさん乗せています。
 やっと朝食をカーオマンガイ屋のテーブルで取っていると、ここの大将が「おはよう。」と言って僕の豆乳のマグカップに自分のコップを軽くぶつけてきました。中身はウイスキー、さすが、24時間勤務でがんばっているだけあります。すぐに手伝いに戻ると、今度は果物屋のおじさん。いつも話しかけてきてくれるのですが、今日は“お父さん”ってタイ語でどういう意味か、と聞いてきました。そういえば、僕が市場に買い物に行くのに通りかかる時におじさんがいると、「お父さんこんにちは、お父さんこんばんは、お父さんサワディーカップ……」と話しかけていたのです。
 今日は、僕が托鉢のお坊さんに供物を差しあげることはありませんでした。でも、鉢にいっぱいになった供物を別の袋に入れるのですが、その袋はいつも豆乳屋のお父さんが用意していて、それをしてあげるよう言われました。ふたりのお坊さんにして差しあげたのですが、そのうちのひとりのいつも来る年老いたお坊さんに「日本人か?」と聞かれ、僕の両腕につけてあるサイシン(ラッキーロープ)はどこのだ?と聞いてきました。お父さんもいっしょになって答えてくれると、そのお坊さんは僕に赤のサイシンを右手首につけてくれました。ありがとうございます。何だかんだでバタバタしているのを体格のいいおばさんが見ていたようで、色々質問してきました。この人をお母さんは「おばさんと呼びなさい。」と言っています。「“こんばんは”は、タイ語でどういう意味か?」、「どこに住んでいるのか?」僕が答える前に、お母さんが色々解説してくれましたが、実は英語を上手に話す方でした。
 「今住んでいるところは高いでしょう。私なら、その半分で貸すよ。」
 「でも、今の部屋は安全だから。もし安全じゃなかったら、すぐに引っ越しているでしょう。」
 そうこうしているうちに、サイバーが終わりおばさんは車で帰っていきました。車を見たら、ベンツでした。僕でも、それぐらいはわかります。お母さんによると、近くに住んでるそうです。大きな家に住んでいるとのこと。その1室でも貸してくださる、というのでしょうか。もっと色々聞いておけばよかった。




■8月16日 金曜日……騒々しい朝


 今日は、6時過ぎに店に到着。お父さんは風邪を引いたようで、くしゃみを連発しています。日本語でハクションと鼻水を教えると、「ハクチョン、マイチャバイ(マイサーバイのことです)。ハナミズマーカップ。」とおもしろがって何回も言っていました。
 お手伝いはいつもと同じなのですが、僕も少し積極的にやってみようかと鍋から揚げパンをジャーレンにとって、油を切ってバットへ持っていく作業をやろうと機会をうかがっていました。鍋に関することぐらい、まかされたいですからね。ところが、托鉢のお坊さんが来てサイバーの係が僕なので、それをやっているうちにお父さんやお母さんがサッとその作業を済ませてしまいます。今日は、結局1回だけでした。
 カーオマンガイ屋には色々なお客さんが来ることはこれまでにも書きましたが、朝帰りのグループ、これから学校に子どもを送る家族、出勤前の人……共通なのはみんな元気なこと、朝から元気に鶏肉を食っている、ということです。そんな中で、今日はケンカが発生しました。20歳前後の男が、店の前の通りでケンカを始めました。僕のタイ語力では、原因や何を言っているかはわかりませんでした。お父さんも、ここぞとばかり止めに入りました。もうひとり、店の常連さんのちょっと恐そうなおじさんが何かを言うとけんかは終わり、ひとりがワイをしていました。このおじさんは、何者なのだろうか……。ひとりはモトサイで帰り、もうひとりは席に戻って食事をしていました。ところが、モトサイで帰ったひとりが仲間をふたり連れてやってきました。カーオマンガイ屋の相手の席に行き、何やら話しています。店ではするなよ、ほかに迷惑がかかるから……。さっきケンカしたところで、再び戦いが始まりました。応援は来ていましたが、ケンカは1対1です。少しすると終了して、再び相手はモトサイで帰り、もう一方は席に戻りました。僕の横で見ていたおじさんが「子どもだ。」と言って帰っていったのが、やけに印象的でした。何だか、騒々しいうちに午前7時半になってしまい、僕は部屋へ帰りました。
 恋愛、酒やケンカは元気な証拠。これも、朝から肉を食ってるせいなのでしょうか。でも、僕は面倒なことはあまり好きじゃないですね。




■8月17日 土曜日……週末は忙しい


 土日はタイ語学校が休みなので、ジョギング後一度部屋に帰りシャワーを浴びてから、店に行っていましたが、今日は何だか面倒なので、ジョギング後に直行しました。昨日の事件がうそのように、いつも通りの営業です。実は、昨日お母さんに「市場の宝くじ屋さんに行って、471のくじを探して来て。」と言われました。探したのですが、残念ながら見つからずに終わったのですが、今日はどうやらその発表があったようで、知り合いのお客さんから新聞を見せてもらっていました。それによると、174だったと思うのですが、とにかく惜しかったわけで、お母さんははしゃいでました。でも、お母さんはどうやって番号を選んでいるのでしょうか……。
 売り上げは、快調です。お客さんが固まってやってきます。人間は考えることが同じなのでしょうか、来ない時はお客さんは誰も来ないのですが、ひとり来ると次から次へと来ます。ひどい時は、お客さんが前だけじゃなく横や後ろでも待っています。それを、お母さんはみごとにさばいていきます。お客がすいた時に、お母さんに質問をしました。スワイ、マイスワイの違いについてです。くっつくはずの揚げパンが離れてしまったのは問題外として、くっつき方について、くっつく面が多い方がいいのか、それともエックスみたいにくっつく面が小さい方がよいのか。答えは、後者の方が美しいそうです。
 ついでに、お前の水のつけ方はこうだからこうなるのだ、と指導してくれました。これで、少し自分でも納得できました。水のつけ方や生地を鍋に入れる前の整形、油への投入のしかたで微妙に形が変わってくる、と最近感じはじめていたからです。今日は忙しいのですが、お父さんもしっかり僕の相手をしてくれます。ただ、今日はほんの少しなのですが、雨が降ったりやんだりしていて、ぱらついてきて傘を開くと雨がやみ、傘を閉じると今度はぱらつきはじめ……と、何とも面倒な日でした。傘といってもとても大きいものなので、開くのもたいへんです。
 今日は、揚げパンの生地の2つ目もあと少し、というところで作業が終了しました。“さぁ、そろそろ終わりだ”と思ったころに、お父さんが生地を触ってみなさいとのこと。以前は早くやってみたいな、と思っていたのですが、実は最近少しあきらめ気味でした。もちろん、売り物にするのではなく練習です。生地を細く長く伸ばして、それをステンレスでできた生地用のナイフ(包丁か?四角くて持つ上の部分が丸めてある)で切っていきます。このナイフは、持ちやすいように微妙に曲がっています。実際やってみると、細く伸ばすのがとてもむずかしいです。無理に伸ばすと細くなりすぎ、“こいつは手強い”と思いました。打ち粉も重要で、切り方も中途半端だとくっついてしまいます。ここで、練習は終了。生地を触らせてくれて、ありがとうございます。お父さんに言うと、明日またやらせると言ってくれました。ありがとうございます。でも、明日は日曜日、お母さんは僕に早く来るように言っていますよ。仕事のジャマにならない程度に、よろしくお願いします。




■8月18日 日曜日……タダで


 ジョギング終了後、競技場からチャーンプアック通りを横切って市場へ行くのですが、その途中で通るご飯屋さんは朝から営業していて、多くの人が来ています。そのうちの何人かは、そこで食べ物を買って托鉢のお坊さんにあげています。豆乳屋さんに来るベンツに乗ったちょっと親分さんみたいなお金持ちそうなおじさんも、ここでたまにサイバーをしています。今日も、このおじさんを見かけました。いつもは何となく恐そうなのですが、挨拶した時がお坊さんに食べ物をあげた後だったのか、とてもにこやかな顔していました。前回会った時も、そうです。店に行ってみると、日曜日は忙しいと言うお母さんの話とは違って、とても静かでした。
 お父さんは風邪で熱があるようで、「マイチャバイ。」と言っています。お手伝いはいつもと同じ。ただ、お父さんが調子が悪いのでできあがった揚げパンをすくって運ぶ作業も僕がやりました。そこへ、ベンツのおじさんが登場。このおじさんの時は、ちょっと対応が違います。僕は挨拶をしますし、「こちらへどうぞ。」と言う時もあります。たまには、僕が豆乳とパートンコーを運びます。今日はお母さんが運んだので、僕がティッシュを持っていきました。このおじさんの時はお母さんはティッシュを出していたので、僕はそれを覚えていたのです。それが何だか喜ばれたみたいでした(一番喜んでいたのはお母さんかもしれないですが)。そこで、お母さんが何やら話し出しました。お父さんが「おじさんの近くに行け。」と言います。どうやら、僕がアパートを探している話をしているみたいです。もしかして、数日前に来た体格のいいおばさんのご主人はこの人?そこへ、後ろのカーオマンガイ屋の兄ちゃんが飛んで来て、僕に軽くひざげり……。何でやねん。でも、よいところに来てくれました。困った時は、この兄ちゃんです。英語の通訳をしてくれるからです。
 聞いてみると、部屋ならタダでいい、と話してくれているとのことでした。無料は、まずいでしょ、やはり。それに、今のところの契約を更新してしまったので……と、兄ちゃんに通訳を頼むと、そのおじさんは、“なぁんだ、そうか”という顔をして、ベンツに乗って帰って行きました。夫婦で別々のベンツとは、相当のお金持ちなんでしょう。そこへ、タダで部屋を貸してもらえる、という話が来たので、兄ちゃんも飛んできたのでしょう。
 8時近くになって店も調子よく売れだし、この日は8時40分過ぎに帰りました。




■8月19日 月曜日……風邪対策


 今日は雨上がりで、まだ少し降りそうなカンジです。店はいつも通り営業していますが、お客さんは少な目。どうやら、お父さんの風邪がまだよくなっていないようです。お父さんの朝食は、生卵入りのマグカップの豆乳。それを飲んだ後に、お母さんが何やら言いながら薬を袋からあけ、手渡していました。後でお母さんが袋を見せてくれましたが、息子が昨日買いに行ってきた、と何度も言っていました。もしかして、息子自慢?
 お父さんは、今日も「マイチャバイ。」と言っています。頭がフラフラするらしく、揚げパンの大鍋に頭を突っ込みそうになる真似をしています。店を休むわけにいかないし、家に帰っても仕込みがあるので大変らしいです。お母さんが、「これを食べてみなさい。」と指さすので見てみると、何かの草です。風邪とノドに効くらしいのです。たぶん、食べると思いっきり苦いんだろうな……と思いながら食べてみると、案の定思いっ切り苦くてその上青臭いです。お母さんは、大笑いして喜んでいました。
 何10年もこの商売をやっているのだから、風邪も引くこともあるだろうし、時には怪我することもあるでしょう。風邪などは珍しい話じゃないのかもしれないけど、早く元気になってくださいね。




■8月20日 火曜日……あげる?くれる?


 今日は、朝がたから小雨が降りだし、お客さんも少な目です。お父さんの風邪もいまだ回復していない様子。こっちの風邪薬は強いのか、薬が効いてフラフラするようです。お父さんは、朝一番からびっくりするような発言をしました。
 お父さんの首には、いくつもの仏様のお守りがかかっています。それがお父さんの趣味らしく、友人が遊びに来るとお守りをルーペで見て何やら話し込んだりしています。ラビットさんが来た時にも、それがずいぶん高い値段がすると自慢してました。僕にそのひとつを指さし、「あげる。」と言うのです。「10万バーツする。」と言っています。ラビットさん、今度はどうやら本当にくれると言っているようです。おまけに、鎖も探してやるみたいなことを言っています。鎖って、金ですよね。「お父さん、熱があるんじゃないの?どうぞ、座ってください。僕はいりませんよ。」僕のタイ語では、こうやって言うのが精いっぱいです。お父さんは、どうしていらないのかと、不思議そうな顔をしていました。正直、そんなすごいやつを首から下げていたら、首と肩が凝ってしまいます。
 手伝いはいつも通りなのですが、今日は雨も少し降っていたので、話す時間が結構ありました。「手伝いの時の会話でよく登場する“ルーとヤン”について、タイ語学校で昨日習いました。」と言ってみましたが、どうも伝わりません。あきらめかけたところに、ファランのご主人とタイ人の奥さんがカーオマンガイ屋を訪れました。何を思ったか、お父さんはそのご主人に話しかけました。「英語で聞いてタイ語に翻訳して。」と言っている様子です。僕が英語で話すのですが、肝心のそのご主人はタイ語がわからないようで、結局その奥さんが通訳してくれました。いやはや、おおごとになってしまいました。
 お手伝い終わりのころ、お守り仲間が訪れました。お父さんは。お守り談義に夢中です。それでも思い出したように生地を鍋に入れ、そしてまたすぐにお守り談義を再開。お守りのことになると夢中です。でも、そんなお守りをくれるというのだから、その気持ちに感謝です。




■8月21日 水曜日……コーカイ


 昨晩はずっと雨が降っていましたが明け方何とかあがったようで、ジョギングはできました。
 どんよりしていて今にも降り出しそうな天候のため、店のお客さんも少な目です。托鉢のお坊さんに豆乳と揚げパン2個のセットをあげるのも、すっかり日課となっています。これをする時に僕が行っていることがあります。それは、裸足になること。ジョギングの時は、靴下を履いて靴を履いているのですが、ジョギング後靴下を脱いで店に向かいます。サイバーの際には、靴を脱いで裸足で行います。タイの人がするのを見ていると人それぞれで、裸足で立つ人もいれば、靴を脱いでその上に乗って行う人もいます。靴下を履いたままの人もいます。どうやらそこら辺は気持の問題のようです。ただ、僕はせっかくやるのだからお坊さんと同じレベルに立ちたい、同じ感触を共有してみたい、という気持ちからそうしています。これに対して、お父さんお母さんは「マイペンライ」と言ってくれていました。これは、もちろん親切心からだと思います。そして、今日は昨日の雨で路上が濡れていましたので、お父さんお母さんは色々言ってくれました。
 今日は、自分の考えをタイ語で説明してみました。どうやら、わかってくれたようです。最近、タイ語学校でタイ文字の読み方を習いはじめたので、コーカイ(イロハのイに相当)を覚えていてそのことを話すと、初めは何のことかわからない様子。「コーカイ、コォーカァイ……」と言っていると理解したようで、爆笑されてしまいました。お母さんは、「そんなの小さな子どもでもわかるよ。」と言うけれど、僕にとってはむずかしいのです。お父さんは、僕の勉強にちつきあってくれました。店のうしろの駐車スペースの看板の文字をひとつずつ指さして、これはこれ、これはこれ……。ありがとうございます。お父さんは、風邪でまだ調子が悪いと言っていますが、昨日よりは回復したようです。




■8月22日 木曜日……日本人の作った揚げパン


 今朝も、鍋から揚げパンをあげて運ぶのをさせてくれ、と自己主張。というのは、僕がやったりお父さんがやったりだったから、ここらへんでキチンとしておこうと思ったからです。気持ちが通じているので、話がわかれば即指導です。僕の場合は、いちどにやろうとせずに2回に分けなさい、とのこと。それから、油切りりは入念に。2回目の分はいちど鍋の横に置いておいてから、お客さんと揚げパンのなくなり具合を見て運べ、とのこと。これで、お父さんは生地の方に専念できるし(お守り談義の方も?)、僕も楽しいです。
 いつも来る、向かいの店の30歳代の女性が揚げパンを買いに来ました。何やら、タイ語で日本人がどうしたこうした……と言っています。どうやら、日本人が作った揚げパンをください、と冗談で言っているみたいでした。冗談でも、うれしいではないですか。にっこり笑って、どうもありがとう。こんなカンジで、毎日顔を合わせるだけだったお客さんが少しずつ僕と話をしてくれるようになってくれます。はじめのころに比べ、お手伝いも話すのも最近は忙しくなってきました。もちろん、お客さんがいない時はノンビリです。
 今日、お父さんは僕の横で言いました。「サイバーをしているから、タイ語が少しずつわかるようになってきたんだ。」と。タイ語だけじゃないですね、これは。そのおかげで、色々なことがわかるようになってきていますね。




■8月23日 金曜日……揚げ具合(1)


 今朝は、競技場に向かって部屋を出た時は雨はやんでいたのですが、途中で降り出したのでジョギングをキャンセルして店へ向かいました。午前5時半過ぎで周囲はまだ暗く、店ではこれから揚げパンを作り始めるところでした。
 手伝わせてもらったのですが、暗くて勝手が違います。揚げあがりの色が、確認しづらいのです。食堂からの照明の明かりがもちろんあるのですが、蛍光燈のために色が違って見えます。
 朝食をとっている頃から、雨がひどくなりました。うしろの食堂の建物からはひさしが出ているのですが、しょせんはひさしなのでしっかり雨が降るとそれをすべて防いではくれません。ここまでしっかり降ると作業も窮屈になりなりました。今日も、鍋から揚げパンをあげる作業をさせてもらったのですが、お母さんから指導が入りました。「ピン、ピン!!(鍋の揚げパンを裏返しなさい……ピンはチェンマイの方言。タイ語ではクラップ)」僕が揚げているのは、揚げ過ぎのようなのです。僕も、毎日揚げパンを朝食で食べているので好みがあります。僕の好みはしっかり揚がっているもので、それがおいしいと思っていました。また、色も黄色というよりはこんがりきつね色で、気持ち茶色に近いほうがいいと思っていました。今日は、そこに指導が入ったのです。となると、こっちも確認しなければなりません。バットの前でじっくり見ると、なるほど違うのです。タイ語の先生が、「おいしそうな色は茶色ではなく、黄色です。」と教えてくださったけど、まさにそのとおりです。
 今日はてるてる坊主を作ってみましたが、だめでした。カーオマンガイ屋の兄ちゃんによると、タイでは雨が降ってほしい時はレモングラスをさかさまにして地面にさすそうです。今日は、誰かがそうしたのでしょうか。




■8月24日 木曜日……揚げ具合(2)


 今日は雨も降らず、そして土曜日。売れそうな予感がします。その前に、ハッキリしておきたいことが……。それは揚げ具合についてで、どれがよくてどう違うのかということです。行ってすぐにお母さんに「今日は自分で作った揚げパンを食べたい。」と申し出ました。「それじゃあ、今日は10バーツだよ。」と、冗談を言っていました。
 2個だけ自分風にじっくり揚げて、ひとつもらって食べ比べ。なるほど、自分のほうがカリカリしていて心なしか香ばしさが強めです。でもよくよく比較しないとわかりません。今日は忙しく、休む暇はあまりありません。早くひっくり返さないと揚げすぎになるし、お父さんに揚げ色を確認します。お父さんは火を調整してくれたようで、「今日はゆっくりやりなさい。」と言ってくれました。火が強いと揚りかたも早いので、気を使ってくれているのでしょう。それに、今日は生地を切り分ける個数も、いつもより1列少な目にしてくれています。数が少ないと、鍋での処理も楽になるということです。ありがとうございます。
 2回くらいバットに運んだころでしょうか、お母さんから「スワイマーク(とてもきれい)。」とおほめの言葉をいただけました。なるほど、この色のカンジなのか。こんがり濃いきつね色でもなく白っぽくもなく、微妙です。最後に揚げた時は、お父さんが「まだまだ。」と言いました。お父さん、本当ですか?これ、もういいんじゃないですか?お父さんは、揚げ具合より僕のタイ語の方がおもしろいようです。バットに移すと、ほら、お母さんに怒られた……。お客さんがいなかったのでじっくり見に行くと、お母さんが「これを食べてみなさい、パンと同じだよ……。」と言います。なるほど、パンのようにフワッと揚がっていて、かむと柔らかい。僕は、少々勘違いしていたようです。少なくともこの店では、カリッとしたのではなく、ふんわり柔らかいものがよいのです。
 今日は飛ぶように売れるのですが、生地がこれでおしまいだと言います。「どうして?」と聞くと、昨日雨で売れなかったので、仕込んでいないかったそうです。お父さんに聞きました。「売り切れても、ほかの店も売れるからいいんですよね?」、「そうだ、それでいい。でも、ほかの店のはおいしくないけどな。」とお父さんは言いました。この売れ方から見て、多くのタイ人はふんわり柔らかい揚げパンが好みのようです。




■8月25日 金曜日……揚げ具合(3)


 今日は日曜日、そして少しだけ青空ものぞいています。今日は、よく売れるだろうな……。店に到着すると、揚げパンも準備が整っていました。お母さんは僕に、「これは、ちょっと揚げすぎだ。」と指さしました。お母さんの声はもともと大きいのですが、わざとお父さんに聞こえるように言っているのでは?とも思えます。でも、お父さんは知らないふりをしています。次からは、僕が揚げる係です。これが、実は気を使うのです。というのも、お母さんは前回書いたように気持ち白めのふっくらタイプが好み。しかし、できあがったかどうかはいつもお父さんに確認するのです。「お父さん、持っていってもよいですか?」と聞くと、「まだ待ちなさい。」と必ず言ってきます。お母さんは、心の中では早くあげろと言っているはずです。
 後でお父さんに聞いてわかったのですが、「待て。」と言うのには理由がありました。それは、火を落としてじっくり揚げているので待つのだ、ということです。お父さんいわく、じっくり揚げたほうがおいしいのだそうです。これには、僕も賛成。とりあえず、僕の本日第1回目の作品を見てお母さんは「スワイマーク。」よかった……。
 今日は、7時ごろ一時客足が引きましたが、20分過ぎから大忙しでした。鍋に生地を入れてひと通りひっくり返すと、一度手についた粉を洗いに行きます。これは、いつもお父さんにそうしなさいと言われています。その後、すぐにお父さんが次の生地を切り分けているので、それに水をつけなければなりません。そして、再び鍋の中を具合を見る。最後にすくいあげて、油切りを入念にしてバットへと運びます。この回転が今日は一段と速く、お母さんがすばやく揚げパンを取りに来たくらいです。集まって来たお客さんにお母さんが、「ちょっと待ってね。どうですか?」と僕に話を振ります。ぼくが、「少々待ってください。」と言うと、お母さんが「待たないでください……。」何だかよくわからない会話ですが、お母さんは楽しそうです。今日は、揚げパンはあっという間に完売。小麦粉の大きな固まりが2つなくなるんだから、すごいです。これなら、お母さんもご機嫌でしょう。




■8月26日 土曜日……日本語で話そうか?


 昨日、東京の友人が夏休みを利用して遊びに来ました。前に来ることを話していたので、お父さんもお母さんも待っていたようです。早速、お母さんは豆乳と揚げパンを出しました。「おいしいか聞いてくれ。」と僕に言います。自信満々の様子です。それに、今日は竹に入ったもち米のお菓子(カノンラーンとか言ってました)もいただきました。お父さんは、「友人とゆっくり話しなさい。今日は、手伝いはしないでいいよ。」と言ってくれました。揚げパンと豆乳に関する友人の感想は、「豆乳って、こんな味が濃かったかな?揚げパンも、ふわっとしていておいしい。台湾で食べたのは、もう少し固かった。」ということでした。お父さんは、「日本なら、揚げパンは5バーツでも売れるか?」と聞いてきました。僕は、そこらへんの質問にはいつもハッキリ答えません。色々と環境が違うので一概には言えない、ということなのです。変に言ってしまうと期待されてしまうので……。多くの人が「日本で商売する気か?」と聞いてきますが、一切その気はありません。あくまでも、お手伝いの目的はおもしろいから、チェンマイの人と触れ合えるから、ネイティブのタイ語が聞けるからなのです。でも今日は、友人はモーニングセットみたいにしたらいいんじゃないか、と話していました。どちらにしても、同じ形態ではむずかしいと思います。
 そろそろ帰ろうか、という時に、友人が日本からのお土産を出しました。ふりかけ、どら焼き、そして小さなダルマ。ダルマは、本当に小さいダルマなのですが、胸の部分に“開運”と書いてあります。これには、お母さんが大喜び。これでまたよく売れる、ということなのでしょう。それに、近所の店で招き猫は見かけるけど、ダルマはあんまり見ないからでしょうか。お父さんが、僕にたずねました。
 「友人は、タイ語は話せないのか?」
 「話せない。」
 「英語は話せないのか?」
 「話せない。」
 「日本語は話せるのか?」
 「話せる。」
 「俺は日本語が話せるから、日本語で話そう。オイシイ。アリガト。オトウサン、オカアサン……。」
 楽しい朝でした。




■8月27日 日曜日……ドォー


 今朝は6時20分頃店に着いたのですが、東京から遊びに来た友人がすでに来ていて、豆乳と揚げパンを折りたたみテーブルで食べていました。気に入ってくれたのでしょう。
 僕はいつも通り手伝って、托鉢のお坊さんに揚げパンと豆乳をあげていたのですが、これはいい機会だと思い、友人に勧めてみました。友人は見よう見まねでやってくれ、それを見たお父さんもお母さんも喜んでくれました。
 お父さんが、友人の名前をもう一度聞いてきました。どうも、その名前がむずかしくて言いづらいようです。「それなら、タイの名前をつけてください。」と言うと、すぐにつけてくれたのが“ドォー”。名前の一部を言いやすくしただけの名前です。そういえば、ここの息子の愛称もそんなカンジで決められています。タイ人の愛称はいたって簡単に決められるのかも知れません。
 そういえば、友人は「今日はカーオマンガイを食べる。」と言っていたので、「食べないのか?」とたずねると、到着してすぐお母さんが豆乳と揚げパンを出してくれたので断れなかった、と言います。昨日、「明日食べるからね。」と兄ちゃんに言っていたので、その旨話してみると、「味見用でテイクアウトしろ。」と言ってくれました。それもただで……。どうもありがとう、忙しいのにね。たぶん、友人は毎日来ます。明日からは払いますよ。ちなみに揚げパン代は、僕も友人もキチンと払っています。




■8月28日 月曜日……ダルマ効果?


 今朝は雨が降りそうだったので、ジョギングを中止し店に直行。東京から来ている友人“ドォー”も来ました。行くとすぐにお母さんが、「お父さんが揚げた揚げパンが、揚げすぎだ。」と僕に言って来ました。次は僕が揚げるので、何だか責任重大です。店をいつも通り手伝って、いつも通り托鉢のお坊さんに揚げパンと豆乳のセットをあげます。以前、サイシン(ラッキーロープ)をいただいた年老いたお坊さんとは顔見知りになっていて、来るといつもニコニコしてくれます。今日は、ニコニコしながら何か言って、僕の右腕を触ってきました。意味がわからず、頭を下げてお手伝いに戻ろうとすると、お父さんが“しゃがみなさい”と身振りしました。お経を唱えてくれたのです。それも、頭をなででくれながら。何だかありがたくて、ありがたくて……。しっかり、色々お願いごともさせていただきしました。
 7時近くになって、お坊さんの集団に供物をあげるお客さんがいて、揚げパンがなくなってしまいました。その頃にはすでに晴れ出していたのでお客さんも集まりだし、店が大忙しになってしまいました。いつも失礼する7時半になっても、その状態は続きました。作っても作っても追いつかない状態です。揚げパンのバットを囲む数人のお客さんをかき分けて、揚げパンを運びます。「コーッターンノイカップ(ちょっと通してください)。」と言ったのですが、このターンの発音が正しくなかったようで、お客さんが指摘してお母さんが直してくれました。いい勉強になりました。ありがとうございます。
 お客さんが落ち着いたのが、8時ごろ。生地は1鍋分くらい残っていました。平日にここまで売れたら満足だろうと思い、お母さんに向かって友人“ドォー”が持って来てくれたミニダルマを指さすと、母さんは「カーイディー(よく売れる)!!」と笑っていました。ミニダルマのおかげです。




■8月29日 火曜日……首まで切られる


 今日は、昨日同様雨あがりの朝です。ということはまた忙しくなるのか、と思ったら今日は比較的暇です。いつも通りお手伝いしていると、いつものベンツのおじさんがやって来ました。お母さんは、このおじさんに「僕が手伝っているうちにタイ語も覚えたし、揚げ方も上手になった。」と言っているようでした。お世辞でも、何だかうれしいものです。実際、数日前に揚げ方を確認したおかげで、お母さんから「マイスワイ。」と言われる回数は減ったし、鍋からバットにあけると「スワイマーク。」と言ってくれることが多くなったような気がします。しかし、油断は大敵、慎重にお手伝いはしなくてはいけません。大失敗につながります。
 お客さんが少ないので、お父さんお母さん、僕、そして東京から来た友人とで会話をゆっくりすることができました。年齢の話になり、お父さんは32歳だとおどけてみせたりして盛り上げてくれます。お父さんが、「東京に遊びに行けるか?」と聞いてきた時、僕は勧めませんでした。というのは、日本に行ったとして物価が高すぎて楽しい思い出にはならない、と思ったからです。タクシーは200B、クエッティオは200B……。お父さんは、友人に散髪代をたずねました。1,100B……。日本には来れるけど、テレビで見ていたほうがいいですよ。お父さんは、わかってくれたようでした。お母さんが、散髪代の話をカーオマンガイ屋の兄ちゃんに教えました。兄ちゃんが言います。「タイでそんなに払ったら、首まで切られるよ。」みんなで大笑い、楽しい朝でした。




■8月30日 水曜日……写真好き


 今日も、東京からの友人は店にいました。タイ語も英語もできないのに、しっかり仲間入りしているようです。
 今日は天気もよく、到着時から売れ行きはいいようです。揚げ具合はもう自分で判断して、鍋からあげています。でも、お母さんに揚げ具合がどうかはしっかり確認しています。友人について、お父さんお母さんからいろいろ質問されたりすると、生地を鍋に投入するのに時間がかかったりひっくり返すのが中断したりで、揚げムラができたような気がしたからです。お母さんからは「これはきれい。これは揚げすぎ。これはきれいではない。」と指摘されてしまいました。
 突然、カーオマンガイ屋の兄ちゃんが、肉屋に行くから一緒に行こうよ、と僕を誘ってきました。わけがわからず後で聞くと、カオニャオ屋さんの娘さんを僕に見せたかったようです。僕はその娘さんのファンなのですが、そのことについてはまた後日書くことにします。
 お父さんお母さんは、昨日友人にカメラを持ってくるように言っていました。「今日は、写真を撮りなさい。」ということのようです。はじめは僕が作業してるところを撮れと言っていたのですが、何だか記念撮影みたいになってしまいました。こうなると、観光客の写真と一緒です。揚げパンをひっくり返して1枚、豆乳を袋詰めして1枚……。タイ人は、本当に写真好きです。僕のタイの友人達も、たまにセンタン(セントラルデパート)に写真を撮りに行きます。それをカードのカレンダーにしたりして喜んでいます。写真嫌いの僕にとっては、理解できません。逆に、写真好きのタイの友人たちにとっては、僕が理解できないようです。写真を撮り終えた後にお父さんが言いました。「写真はいつ出来るのか?」、「1週間後くらいかな(デジカメなのでメールで送ってもらうつもりなので)」、「7日もかかるのか?」お父さんは、ちょっと残念そうでした。 お父さん、大丈夫ですよ。もっと早く渡しますよ。




■8月31日 木曜日……日本人いっぱい


 今日は、東京の友人が帰国する日です。昨日からお父さんに言っていたので、「今日はさみしいな。」と何度も言っていました。お母さんは、今日は「サンカヤー(タイのカスタードクリーム)を味見してみなさい。」と友人にあげていました。揚げパンにつけても残ってしまったのを見ると、「市場に行ってパンを買ってきて、つけて食べなさい。」と言ってくれました。「近所のお客さんが来たら、頼んでお菓子も買ってきてもらって、持って行きなさい。」とも言ってくれました。カーオマンガイ屋の兄ちゃんは、空港まで送りに行くとまで言ってくれました。これは、デジカメで写真と撮りまくった効果でしょうか?それだけではないと思います。
 今日は土曜日。忙しく手伝っていると、見覚えのある車が到着しました。ラビットさんです。ネット仲間のガネッシュさん、pumpuiさんものぞきに来てくれました。昨晩オフ会があったのですが、僕は欠席しました。それで、様子を見に来てくれたのです。
 今日は、日本人がいっぱいですね。お父さんは、何やら僕に言ってきました。この中に、知っている顔がいたようです。世間は狭いものです。今日来ていただいた方々に、僕はどう映ったのでしょうか?ここにいる人たちは悪い人ではない、ということはしっかり伝わったと思います。



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