ガイドブックのガイド

チェンマイの歩き方(ガイドブック)


 発行:タイ国際航空・(株)ダイヤモンドビッグ社
 非売品


≪2002年版≫

タイ国際航空発行のガイド、チェンマイの歩き方2002年版の表紙の写真 2002年版も構成は基本的に前年版と同じで、「アジアン雑貨の街」でのアイテム紹介、「チェンマイのご馳走」での料理紹介が“特集”と位置づけられており、続いて“The Areas”としてチャルンラート通り、ニマーンヘミン通り、ナイトバザールの3ヶ所が取り上げられている。前回、第4のエリアとして掲載されていたサンカムペーンは“ハンディクラフトの町サンカンペーン”(原文のまま。タイ語の綴りを見ると、サンカムペーンと書く方が正しいと思うのだが……)として独立した。さらに“市内の魅力スポット”、“郊外のお楽しみスポット”としてショップとレストランが紹介されているほか、“チェンマイを楽しむために知っておきたい便利情報”として、乗り物や両替、荷物の配送などのインフォメーションもある。ショップやレストラン、中に掲載されているグッズや料理の写真は、一部差し替えられているが、大部分は2001年版と同じである。
 しかしながら、写真の美しさは相変わらずであるし、これだけの雑貨ショップを紹介している本はおそらくほかにないので、チェンマイで雑貨ショッピングを、と考えている人(特に女性)にとってはとても価値があるガイドブックだと思う。下の「マーケティング的視点からの考察」でも言及しているが、せっかくこれだけ質の高いものを作ったのだから、なるべく多くのチェンマイを訪れる旅行者が手に入れられるようにすべきではないだろうか。


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≪2001年版≫

タイ国際航空発行のガイドブック、チェンマイの歩き方2001年版の表紙の写真 タイ国際航空(TG)と、「地球の歩き方」編集室が共同制作した、チェンマイを訪れる旅行者向けのリーフレット(小冊子)。
 サブタイトルに「タイの古都・チェンマイで洗練されたアジアン雑貨を探す」とあることからもわかる通り、メインはインテリアグッズのショッピングガイドで、それにレストラン紹介が若干……という構成になっている。インテリア雑貨の店はエリア別に紹介されており、従来から他媒体でも取り上げられているナイトバザールやサンカムペーンはもちろんのこと、ピン川左岸のチャルンラート通り沿いに並ぶ高級ショップや、最近注目の買物スポットとして話題にのぼることが増えてきたニマーンヘミン通りの店などが、きれいな地図・写真とともに紹介されている。取り上げられている店は、布・織物、陶磁器、木製品など幅広いカテゴリにわたっており、これ1冊あれば買いたいアイテムを扱っている店を最低1軒は見つけることができるだろう。
 レストランのコーナーも、サンドイッチカフェから、カーオソーイの店まで幅広く紹介されている。中には、市内から車で30分以上かかり、「このガイドブックを使うような旅行者が、果たして行くことができるのか?」と首を傾げたくなるようなロケーションのレストランも載っているが、リピーターにとっては「へ~、こんなところにも店が……」というような、新たな発見があるかもしれない。

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≪マーケティング的視点からの考察≫

 個人的な推測なのだが、このリーフレットは、アジアン雑貨ショッピング旅行の目的地として人気が急速に高まっているベトナムに対抗し、最終的にはTG利用者(チェンマイへの旅行者)を増加させることを目的に、若い女性を想定ターゲットとして制作されたものであろう。そのため、紹介されている店も全体的に高級感、おしゃれ感の漂っているところが多く、まるで女性誌のようなビジュアルで埋めつくされている。
 しかし、マーケティング戦略として考えた場合、タイがベトナムと同一軸で勝負するのが、果たして得策なのだろうか、という疑問を投げかけざるを得ない。なぜならベトナムには、タイにない強力なアドバンテージ、“フレンチテイスト”というものがあるからだ。日本における昨今のアジアン雑貨ブームは、ある意味“コロニアル(植民地風)”という、一ひねり加わった流行であるとも言えるわけで、その点ではフランスの香り漂う町並みとアイテムを揃えることが可能なベトナムに、チェンマイ(タイ)がまともにぶつかったら勝てるとは思えない。具体的にこれ、というのは直ちに思い浮かばないのだが、何か、もう少し違う切り口でもってターゲット・アプローチした方が、チェンマイ、ひいてはタイの差別化が図れ、最終的にはその優位性をアピールすることに結びついていくような気がする。「地球の歩き方」発行元グループの一社であるダイヤモンド社の「ハーバード・ビジネス・レビュー」にも“差別性はブランドの独自性を表すものであり、消費者からの支持を得るための基礎となる”<注>とある通り、競合との差別化はブランディングの最も根幹を成すものであり、ここができていない限り、その後のすべてのブランド構築への投資と企業活動は、効率が悪くなってしまう可能性が高くなるのだから。
 また、写真は2001年度版だが、タイ航空のホームページを見ると、すでに2002年度版が発行されているようだ。しかし、配布は「チェンマイ行きのTG・PEX運賃チケットをご購入、または下記(省略……引用者注)の旅行会社主催のチェンマイ行きツアーにお申し込みの方に、もれなくプレゼントいたします。」となっており、チェンマイを訪れる人の誰もが簡単に手に入れることができる、というシステムにはなっていないのが残念。
 内容的には大変充実しており、チェンマイに行こうという旅行者、とりわけアジアン雑貨ファンの女性にとってはとても有用なリーフレットだと思うので、希望者には、送料などを実費負担してくれれば配布する、というような仕組みにした方が、チェンマイの観光産業育成の裾野を広げる効果は高まるのではないだろうか。より多くの部数を発行すれば、1部あたりの制作・印刷コストは下がるので、送付コストさえ自己負担にすれば、潜在顧客層に対するメッセージのリーチ(到達)・コストは格段に改善されるはず(発送にかかる人件費は別)だからだ。
 もっとも、「TG利用客を増やす」という本来の目的(?)を考えると、昔の全日空のように路線を独占していて、「北海道に行こう!」というキャンペーンをやって旅行者を増やせば自動的に搭乗客も増える、という環境にあるのならともかく、日本・東南アジア間でもっとも過酷とも思えるバンコク線の競争環境を考えると、こうしたツールではなく、やはり本業(フライト・オペレーションや機内サービス)の魅力をアピールできるプロモーション展開を考えることがマーケティング的には王道なのだろう。しかし、実はそれが一番むずかしいことなのだが……。

≪注≫ダイヤモンド社「ハーバード・ビジネス・レビュー」2002年3月号、P59



海外のホテル、9万軒以上を取り揃えているのはさすが!




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